リンパ浮腫と皮膚
皮膚は細胞による物質代謝の場として重要な働きを担っています。人間のからだは、約100兆にもおよぶ細胞で構成されており、そのひとつひとつが常に栄養分や酸素を必要とします。細胞に必要な栄養分を届けるのに不可欠なネットワークが、血管であり、リンパ管です。このようなネットワークを通して、細胞に必要な酸素や栄養分が行き届き、細胞から排出された老廃物を回収しているのです。このしくみを物質代謝といいます。この物質代謝の重要な場所が皮膚なのです。
皮膚には、人間のからだを適切に動かすために必要な様々な機能が備わっています。たとえば、暑い日には、血管を拡張させて、排出される汗の量を増やし、体内の熱を逃がします。また、寒い日には、血管を収縮させ、体温の維持につとめます。また、皮膚には受けた傷を自力で治癒する力もあります。
このような皮膚は、3層から成り立っていて、表面から順に表皮、真皮、皮下組織といいます。表皮は、皮膚の表面を保護し、新しい細胞を作る場です。古くなった表皮の細胞は、時間とともにはがれおちる仕組みになっています。これが、アカとよばれるものです。このように、皮膚は日々再生を繰り返しながら、外から受ける刺激から人間のからだを守っています。
さらに、細菌やウィルスが体内に入るのを防ぐ防護壁の役目も担っています。表皮の下にある真皮は、網状の組織であり、表皮よりも厚みがあります。真皮には毛細血管やリンパ管など、物質代謝にかかせない器官が存在します。
そのほかにも、毛根や汗腺、皮脂腺など、外界の刺激を感知する器官があります。真皮の下にある細胞を皮下組織といいます。皮下組織は、脂肪組織と線維組織からできています。皮下組織は、栄養分を蓄える機能を持っているほか、人間のからだが受けた衝撃をやわらげる役目も果たしています。
このように皮膚は人間のからだにとって大切な役割をもっています。しかし、リンパ浮腫になると、皮膚にある物質代謝を行う循環経路が破壊されて組織液の流れの停滞が生じます。代謝が衰えると、体内の古い細胞と新しい細胞の入れ替わりがスムーズに行われなくなり、体の機能を衰えさせてしまいます。
こうした症状を緩和するためにも、皮膚をマッサージするなどして、代謝を高めることが必要になってきます。日常的に皮膚をケアするように心がければ、リンパや血液の流れがよくなり、体の代謝機能は回復するでしょう。マッサージは、セラピストなど専門的知識をもった人の助けを借りながら行うと効果的です。